山桜 -黄
若々しい紅葉が、
まぶしすぎて、
目が痛くなってきたところで、
お釈迦様に、視線を戻しましょう。
甘茶の注がれたお皿に佇む、お釈迦様。
お釈迦様を守るように、
その頭上に屋根があります。
お釈迦様のお誕生日を祝うため、
屋根もお花でいっぱい。
屋根の黒色は見えないほどに、
沢山並べられた椿。
そして、
屋根の野筋には、やまぶき。
茎がスルスルと野筋につたわせられ、
くるっと巻いた角から、小さいお花が垂れ下がっている。
山吹色だな、と。
やまぶきの、この花の色が、山吹色だな、
と思いました。
特に、何か特別なことを感じた訳ではないけれど、
この花以外に、他にこの色の物質は、存在しないような気がして。
両脇には、
控えめな花器に、チューリップとカスミソウが、
奥には、
何かわからないが柑橘の実が、供えられている。
チューリップも、果物も黄色い。
他にも、黄色いものは、いくらでもある。
椿の花粉だって、黄色い。
でも、やまぶきの、
ビビッドで、力強く、
ただ明るいだけでない黄色、
透明度の無い、ベッタリとしたこの黄色は、
やまぶきの花しか持っていない、
山吹色。
なんか、そんな風に思いました。
小さいけれど、
特別さを感じさせる、存在感を放つ、
やまぶき。
ちょっと怖いが、好きかもしれない。