みずほの村 創立者の著書に書いてあったこと
『日本一の直売所が実践している「食える農業」の秘密』長谷川久夫著、拝読記録です。
「みずほの村」という直売所のお話です。
スーパーより高値の野菜ばかりなのに売れるという、注目の直売所です。
【著者】
この著者の長谷川さんは、もともと農家だった方です。そこから農産物の販売方法に違和感を感じて 「みずほの村」を創られました。
農業では、産業として稼ぐという感覚が薄れていて、全然儲からない値段で物を売ることがまかり通ってしまっているのだそうです。だから、「再生産できる値段で商品を売る」ということに強い信念を持って、直売所「みずほの村」をはじめられたそうです。
ちなみに、地方議員にも当選された方で、その経験をも商売に生かされています。人の心をつかむ力は、どんな分野でも共通して強みになんですね。
【みずほの村とは?】
冒頭に述べた通り、直売所です。
たいがいの田舎には直売所あるわけですが、「みずほの村」は、他と何が違うのでしょう?
まず、多くの直売所は、JAか行政が関係したものですが、こちらは長谷川さんが個人で始められたものです。つまり、民間で運営されています。
長谷川さんの強いこだわりで、品質の良い商品だけを置かれているので、信頼が強く、「高くても売れる」という農業という業界では夢のような事を実現されているのです。
場所は、茨城県つくば市にある直売所です。圏央道つくば中央ICを出たところ。電車で行こうとすると、駅から30分くらいはかかるところです。
ここまで、埼玉や神奈川からでも人が来るのだそうです。
良い商品があっても、頓挫するビジネスがいっぱいある中、田舎でどうやって事業を軌道に乗せたのでしょうか?
高くても売れるシステムをどうのように構築されたのしょうか?
How to ????
【みずほの村のメソッド】
【おいしい野菜しか作らせない!ー農家の意識改革】
まず、ルールとして、スーパーより安く売ってはいけないということが農家に義務付けられているそうです。この縛りがある事で、農家は品質を追求せざるを得なくなります。
この厳しいルールは賭けでもあります。相場以上の値段で売るための技術を身につけられない農家は、みずほの村からは撤退していくということになります。農家にとっても大変ですが、直売所にとっても契約農家が減るというリスクを負った戦略です。
しかし、「再生産できる値段で商品を売る」という信念の元、この契約項目を作られたのです。
【野菜のおいしさを伝える!ー消費者教育①】
高いものを売るには、まず、その価値をお客さんに伝える必要があります。
そのために、みずほの村では、すべて試食ができるようにされています。
世の中、本当に良い物って隠れてます。
良いもの作ってるけど、うまくマーケティングされていないわけです。
農産物は特にそれが多いように感じます。
中身のわからないものを売ることはできませんから、 まずは売る前に伝えるということですね!
【あそび場を作る!-消費者教育②】
直売所で、野菜やお米についてもっと知ってもらうためのイベントされています。
例えば、「みずほの村祭り」と称したイベントでは、野菜の食べ比べブースを設置。
トマトは青いうちに収穫してから数日常温に置いて追熟させたものと、完熟で収穫したものを食べ比べてもらうなど、直売所の野菜が他とどう違うのかをアピール。
「やっぱり、完熟で獲ったものの方が断然おいしい」ということを、自分で食べて確かめてもらう機会を作られています。
イベントを楽しんでもらいながら、丁寧に育てられた農産物の価値を伝えるという素晴らしい仕組みです。
【ポイント還元!ーWin-Winな商売①】
みずほの村は、ポイント還元率10%!!!
家電量販店レベルです。。。
【農家にもボーナスーWin-Winな商売②】
農家にとって痛いのが、販売手数料と販売予定契約です。
みずほの村は、農家が健全な経営をできるようにと「再生産できる値段で商品を売る」をいう考えで、運営されている直売所ですが、販売手数料はしっかり15%取られます。
やっぱりこの手数料は農家にとっては手痛いわけす。
そして、直売所の中でもめずらしいシステムを設けられていて、各農家が販売目標を定めるということをされています。
これは農家にとっては、大変なことです。自然災害が多い中、予定通りに収穫量をキープするのは、とても難しいですから。
しかし、みずほの村は、アメとムチをしっかり持った契約をされています。
目標より売れた分は、販売手数料なしにされるのです。
農家にとっては、販売価格の15%分ボーナスが受け取れるというわけです!
こうやってWin-Winな関係を築かれているのだと、大変勉強になるシステムです。
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【私の感想】
今、農家が減ってるって話題ですよね。それで、就農しよう、田舎に住もう、っていう事を国も頑張って宣伝してます。人を呼び寄せるために、エサのように補助金もばらまいてます。
実際、就農希望者も増えているようです。
でも、新規就農者の離農率って、40%近いです。
国は補助金を出していますが、初めだけの補助金では問題解決できないわけです。
安くしか売れず、継続して食べていけないのです。
だから、長谷川さんが作った農家が儲けるためのシステムが、補助金より本質的な支援になるということです。
やっぱりビジネスは好循環モデルがなければ、続きません。