読書ログ 古文の読解
私が、「古文、おもしろい」と思う日がくるとは。
高校生の時にこの本に出会っていたら、、、、と思います。
しかし、時すでに遅し27歳。
まあ仕方ない。今、出会えたことに感謝。
私にそんなことを思わせてくれたのが、
『古文の読解』。
とても読みやすい。
古文の解説というと、細かい文法とつまらない歴史の話がつきものですが、そのあたりをとても柔らかく、かつ明快に説明してくださっています。
著者は小西甚一さん。2007年にお亡くなりになりましたが、
筑波大学名誉教授、専門は「比較文学」。英語・フランス語・中国語に精通していらっしゃったそうです。
古文を英語に置き換えながら、解説してくださるところが特徴的。
たとえば、助動詞「む」=will (shall)
- It will rain tomorrow.=明日、雨降らむ(推量)
- I will go tomorrow. =明日、行かむ(意思)
- Will you please come here tomorrow? =明日、来たまはむや(勧誘)
などなど。
英語に置き換えられるとわかりやすい、かつ、英語の復習もできて一石二鳥なり。
これを小西先生は「頭脳経済学」とおっしゃっていて、言葉遊びも秀逸。
投資家のおじさまも、こんなことをおっしゃっていましたが、
What should they know of England who only England know?
「イギリスのことしか知らない人が、イギリスの何を知っているというのだ?」
『お金の流れで読む日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』ジム・ロジャース
理解には、「比較」が欠かせないようです。
ちなみに、この本は、昭和37年(1962年)に出版されたもの。長らく書店から姿を消していたのですが、2010年に文庫として復刊されたもの。
復刊してくださった方々に感謝。文庫されていなかったら私もこの本に出会わなかったかも。
巻末の武藤康文氏の解説を抜粋しますと、
『古文の読解』はもとは旺文社から昭和三十七年に出てきたもの(昭和五十六年に改訂版)で、『古文研究法』と『国文法ちかみち』の両方を圧縮した内容になっている。引用された入試問題の数こそ両書に劣るものの、文法のこと、古典の常識のことなどが満遍なく取り上げられている。「プロローグ」にも、この本は話しかけるような書き方にした・・・とあったが、その通り、前の二冊に比べてより平易な文体になっている。雑談に寄り道する部分も多く、通読しやすい。
とのことです。
2冊を圧縮して作られたということですから、良いとこ取りなのだと思われます。
古典マニアの方には、もの足りないものかもしれませんが、
この本のすばらしさ=読みやすさです。
武藤氏のおっしゃるように、語りかける口調で書かれてありますので、著者:小西先生に直接教えていただいているような気分になります。独自の言葉で説明されるため、「太っ腹文法」、「文法と頭脳経済学」だのといった表現が出てくるのも、楽しい。
高校生にとっては、現在進行形で直面している死活問題の突破に、
社会人には、心のゆとりを思い出させてくれる古典入門のために、
最適の1冊です。
小西甚一,『古文の読解』,
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